横殴りの雨が叩きつけられる音が響き渡る中、三つの影がビニールシートをかぶりながら暗闇を手探りで前に進んでいた。山道とはいえ国道なので道路照明はあるはずなのだが、既に電力の供給が途絶えたのか、棒のように立ちすくんでいるだけだった。
既に車の往来もあるはずもないが、少しでも雨をしのごうと山形の路肩にそって進んでいた。水が靴の中敷まで浸透し、歩く度に水の重い音を立てた。
長いのぼりのピークに差し掛かったとき、彼らは雨音の変化を感じた。金属を叩くような音。そして、目の前に大きな塊があることに気がついた。
「M-1A2SEP…米軍もここまでは来たか」大きな影が呟いた。
「おじさん、この戦車に乗れないの?」
それは男も考えていた事だ。戦車は四台。一個小隊の最小編成で間隔をおいて放置されていた。動くものもあるかもしれない。彼はこれでも自衛官で戦車の運転もできなくはない。そして、二人の子供達の疲労は既に限界を超えている事を知っていた。女の子の方はもう座り込んでいる。
「キミに車長をしてもらう必要がある。戦車は本来四人で乗るものだ。操縦手、砲手、装填手、そして車長だ。この視界が悪い中を進むには車長が必要だ。私が操縦手をする場合、キミに指示してもらわないといけない。キミにはできるか」
「僕はどうしたらいいか分からないよ……」
「キミが選べる道は3つある。このまま歩いて前に進むか、戦車に乗って前に進むか、戦車で雨宿りをするかだ。しかし、私たちに残された時間は少ない。戦車がここで放置されているということは、核の利用も考えられる。米軍だってこのまま引き下がっていないだろう。戦車で休んでいるに私たちは塵と消えるかもしれない。私の命ももう残り少ない、これはキミが選ばなければいけない」
足元の水溜りはすでに男が流した血で赤くなりかけていた。
絶望の中の賭け…その2
「わからないよ…わからない」男の子は泣き出してしまった。「わからないよぉ!」
男は泣いている男の子をじっと見つめていた。仕方がない。小学校三年生だっていうじゃないか。手に持っているガオレンジャーのお守りが痛々しい。しかし、男はそれでも続けた。
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akamakura (110)
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Genres:
Fantasy,
Science Fiction
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Created on: 6/12/07 3:48 PM
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